最強の仮眠パワーナップの正しいやり方と様々な効果の研究結果

パワーナップ(短時間の仮眠)は眠気を取るのに非常に効果が高く、仕事や勉強のパフォーマンスを大きく向上させる効果が、研究で実証されています。

しかしパワーナップの正しいやり方を知らないために、効果を十分に実感できない、またはそもそも寝付けないと相談されることが多いので、この記事では、世界中で発表されている論文と、私自身の経験と実績を元に、みなさんが今日から最大限の効果を得られればいいなと思い、パワーナップについて紹介するに至りました。

この記事を書いている私、堀大輔は、Amazonの睡眠カテゴリで1位を獲得し、メジャーリーガーのダルビッシュ有選手からも好評をいただいた「睡眠の常識はウソだらけ」を執筆しました。

最強の仮眠方法パワーナップとは?

パワーナップは、日本ではまだ聞き馴染みのない言葉ですが、短い時間の仮眠を指します。世界の一流企業だけでなく、日本でもパワーナップを取り入れる企業が増え、一般にも徐々に認知が高まっています。

明確な定義はありませんが、睡眠時間は15分以下と覚えておいてください。理由は後ほど解説します。

短時間の仮眠というと、居眠りやうたた寝のように受動的、不真面目、怠惰などといったイメージを持たれる方が多いようです。

しかしパワーナップは、自ら積極的にとった方が良いものです。眠気を取って日々の生活を快適に、また仕事の効率を上げてくれる優れものですので、うたた寝のように「つい寝てしまった」ではありません。

パワーナップとシエスタの違い

夜以外の時間帯で積極的に自分から寝るというと、スペインのお昼寝習慣であるシエスタを想像するかもしれません。

実はパワーナップとシエスタは明確に違うもので、シエスタは厳密には昼に寝る行為ではなく、昼の休憩時間(13時〜16時)のことを指します。

実際のシエスタでは、家に帰って昼寝をする人が多いようですが、一方でパワーナップは15分以下という短時間の仮眠ですので、帰宅の必要はもちろんなく、職場などで座った状態でも気軽に取れます。

パワーナップの主な効果

パワーナップは、睡眠という行為である以上、眠気が取れてスッキリするのはもちろんのこと、研究で実証されている優れた効果が他にもあるので紹介します。

睡眠の効率を高める

睡眠中には、眠気の原因となるアデノシンという物質の除去が行われています。

寝始めはこの分解効率が非常に高く、一回のパワーナップで、夜の睡眠約90分に相当するほど、劇的に眠気が取れます。ふだん睡眠不足だと感じている人は、パワーナップをとることで頭がぼーっとしたり、身体がだるかったりするのを解消することができます。

眠気を取るだけでなく、将来発生する眠気を予防、抑制する効果もあります。

眠気を感じていない段階でも、起きている限り睡眠物質アデノシンは脳内に溜まっていきますので、パワーナップでアデノシンを除去することで眠気を予防できるのです。

集中力・記憶力の強化と作業効率の向上

パワーナップは、眠気を取ったり予防する以外にも、様々な面で作業パフォーマンスを向上させてくれる効果があることが分かっています。

アメリカ航空宇宙局NASAの研究によれば、短時間の仮眠によって、認知能力が34%、注意力は54%向上し、その効果は数時間に渡って継続したとのことです。

また睡眠研究の国際機関である、National Sleep Foundationによれば、パワーナップがもたらす効果として下記を挙げています。

  • 注意力の回復

  • パフォーマンスの向上

  • 間違いや事故を減らす

  • リラックス、活力の回復

これらの効果から分かる通り、仕事や勉強において成果、効率の向上が期待されます。

また脳の性質として、同じことを長時間行うと、刺激に慣れてしまい作業効率が落ちてしまいますが、パワーナップをとることで刺激への感度が回復できて、同じ作業を再開しても、取り組み始めのような新鮮さを得ることができると考えられます。

健康面にまで効果を発揮!

パワーナップは健康の分野でも研究が進んでいます。

23,681人を対象にしたギリシャで行われた研究では、週に3回以上仮眠をとったグループは、心臓疾患にかかるリスクが仮眠を取らなかったグループに比べて37%減少していたとのこと。

筑波大学による研究によれば、30分以下の昼寝は認知症の発病の危険性を1/5以下に軽減させたとしており、また高齢者を対象にした広島国際大学による研究では、短時間の昼寝によって覚醒維持に関連した脳機能回復や疲労回復が見られたとのこと。

またパワーナップ中は目を閉じていますので、眼精疲労の解消に効果を発揮します。仮に眠れなかったとしても、数分のあいだ目を瞑るだけでも効果はありますので、ぜひ実践してみてください。

パワーナップ導入企業・利用事例

パワーナップがもつ優れた効果は世界中の企業で認められ、今や企業の施策として導入され始めています。ただ社員に寝ることを推奨するだけでなく、企業によって様々な工夫がされていますので、ここでは3つ代表的な事例を紹介します。

事例1 Google

Google社では、energypodと呼ばれるパワーナップ専用の椅子(ポッド)を設置しています。

引用元:https://furnitureatwork.com.au/product/the-energypod-by-metronaps/

Google社のバイスプレジデントであるDavid Radcliffeは下記のように語っており、Googleがパワーナップを非常に重要なものと考えていることが分かります。

「No workplace is complete without a nap pod.(昼寝用のポッド無くして完全な職場とは言えない)」

参考リンク

事例2 PWC

PWC社は、世界4大会計事務所・総合コンサルティングファームの一つとして有名な企業です。PWCでは、睡眠の専門家を招いて、社員に睡眠に関する習慣や、パワーナップのメリットを学ばせているとのことです。またスイスにある支社では、パワーナップ専用の部屋を設けているそうです。

参考リンク

事例3 ダイドードリンコ

3つ目の事例では国内の企業を紹介します。清涼飲料メーカーでお馴染みのダイドードリンコ社では、通常のパワーナップではなく、さらに効果の高いとされているカフェインナップをとることを社内で推奨しています。

カフェインナップの詳しい内容や効果については後述しますが、この取り組みによって作業効率が向上した結果、42時間あった月間の平均時間外労働時間が、11時間も削減されたとのこと。

参考リンク

基本的なパワーナップのやり方。3つのルール

効果的なパワーナップを実施する際の3つのルールを紹介します。ただ少し寝れば良いという理解だと、得られる効果が半減してしまうだけでなく習慣化が難しくなりますので、正しいルールとコツをしっかりと頭に入れて取り組んでみてください。

1.睡眠時間

パワーナップの定義でもお伝えしましたが、時間は15分以内を厳守してください。15分を超えて寝てしまうと、目覚めにくいノンレム睡眠の段階に入ってしまい、起きた後も眠気が残ってしまいます。

寝る準備ができたら、15分以内の時間でアラームを設定しましょう。15分以内に眠りに落ちれば良いので、なかなか眠りにつけず、数分しか眠れなくても問題ありません。一瞬でも眠りに落ちればパワーナップの効果は得られます。

2.姿勢や場所

姿勢は横になるのが一番眠気が取れやすいですが、職場などにいて環境的に無理であれば、机に突っ伏しても構いません。リラックスできて安全な環境を優先して選んでください。

パワーナップ中は、身体の機能として体温の調整ができませんので、寒すぎる環境は避けてください。室温の調整が難しければ、上着やブランケットを活用してください。

寝ている間は、口が開くこともありますので、乾燥する季節は、喉を痛めないよう注意をしてください。特にオフィスは空調の使用によって1年を通して乾燥しやすいので、後述する卓上加湿器などで対策することをお勧めいたします。

3.時間帯・タイミング・回数

前述のとおり、パワーナップには眠気を取る効果だけでなく、眠気を抑制、予防する効果もありますので、眠くなかったとしてもスケジュールと相談して、取れるタイミングで取ることを推奨します。

回数は1日3回を限度として、複数回とって構いません。ただし、夜の本番の睡眠と、パワーナップは全て2時間以上あいだを開けるようにしてください。

パワーナップの優れた効果は、睡眠の初期段階(寝始めから15分以内)だからこそ得られます。

2時間以上間を空けないで寝てしまうと、身体が二度寝と判断して、後からとった方の睡眠の初期段階がなくなってしまいますので、気をつけてください。

これはパワーナップ中も同様です。眠りについてから数分経って目が覚めたとき、アラームが鳴るまでに時間があったとしても再び寝ようとしてはいけません。これも二度寝にあたり、パワーナップの効果が台無しになってしまいます。

パワーナップをとるタイミングは、1日のどこでも構いませんが、夜に寝てしまうと、本番の睡眠で眠りにつきづらくなる可能性がありますので注意が必要です。

「寝付けない・眠れないから仮眠できない」パワーナップがうまくできない悩みの解決法

パワーナップを試そうとしたけど、15分以内になかなか寝付けないという方のために、簡単に眠りにつくことができるコツを3つ紹介します。

1.習慣化

パワーナップは短時間で済むことから、多忙なスケジュールの中では後回しにされがちですが、慣れないうちは、あらかじめ昼休みや休憩時間など時間帯を決めて、毎日同じ時間、同じ場所でパワーナップをとるようにしましょう。

人間は習慣性の動物と言われるように、最初のうちは眠れなかったとしても、パワーナップを毎日の習慣に組み込むことで、次第に眠りにつきやすくなります。

2.姿勢と脱力

身体を脱力すると眠りやすくなりますので、大きく両腕をあげて全身で伸びをして、凝り固まった関節や筋肉をほぐしてみましょう。その際に口を縦に大きく開くと、あくびを誘発できますので、より眠気が出やすくなります。

そのままアラームを設定して気持ちよく眠りにつけば、目が覚めた時に非常に気持ちの良い爽快感を手に入れることができて、その後の作業や仕事もはかどるはずです。

3.寝具・グッズの利用

また人間の身体は重み(圧力)を感じることで眠気が出やすくなる性質がありますので、先ほどパワーナップ中の寒さ対策として紹介した、ブランケットのようなものをかけると眠りにつきやすくなるのでお勧めです。

他にもいくつかのグッズを使うことで、より楽に入眠ができてパワーナップが快適なものとなりますので、後ほどまとめて紹介します。

長過ぎる昼寝は絶対NG。よくあるパワーナップの失敗

パワーナップの姿勢において、横になるのが一番睡眠効率が高くなると説明しましたが、パワーナップをとると、そのまま起き上がれず、長々と寝てしまう可能性が高まります。机に突っ伏した姿勢においても、ついつい長く寝てしまうことが起こり得ますが、とにかくパワーナップでは長時間の昼寝をしないように注意してください。

前述の通り、15分を超えて寝てしまうと、起きた時に非常に目覚めが悪くなってしまうので、パワーナップの効果の一つである爽快感が得られず、頭がスッキリしないまま、仕事や勉強に向かうことになってしまいます。

Stangらの研究によれば、前述のシエスタにおいて1時間を超える昼寝をとっていたグループは、心血管疾患リスクが急増したとのこと。また東京大学の研究では、同じく1時間を超える昼寝が、2型糖尿病リスクの45%上昇に関連することが認められたとのこと。

いずれにせよ、パワーナップのつもりが、長すぎる昼寝になってしまうことは、パワーナップの爽快感が得られず生活のメリハリがなくなる観点からも望ましくありません。

繰り返しになりますが、パワーナップは数分眠りにつくだけでも十分効果が得られますので、15分いっぱい寝ることにこだわる必要はありません。

急増中。さらに効果的な仮眠方法カフェインナップ

前述のダイドードリンコでは、カフェインナップというパワーナップを進化させたものを企業として推奨しています。

カフェインナップは、パワーナップをとる前にカフェインを摂取するというものです。カフェインは摂取してから覚醒効果を発揮するまでに15分〜30分かかることを利用した仮眠の方法で、通常のパワーナップより目覚めがスッキリする効果があります。

カフェインナップの有効性は研究でもわかっており、広島大学の研究によれば、パワーナップ後に顔を洗う、もしくは光を見るという行動よりも、カフェインを摂取しておくことでもっとも目覚めが良くなったとのこと。

また、Reynerらの研究によれば、ドライバーの眠気を減少させる方法として、カフェインの摂取のみに留めるより、パワーナップをプラスしたカフェインナップの方が効果があったとのこと。

日頃のパワーナップの前に、カフェインをとるだけで手軽に目覚めをより良くできるので、ぜひ皆さんも試してみてください。

パワーナップをより簡単に心地よくとるための便利なグッズ集

パワーナップをより手軽で快適に、また眠りにつきやすくするためのグッズを紹介します。睡眠マニアの私が実際に色々試して良かったものベスト3です。

どれも気軽に職場などに置いておけますので、積極的に活用してみてください。

グッズ1 あずきのチカラ

具体的な商品名を出しましたが、あずきのチカラは写真のように、布の中に小豆が入っており、電子レンジ等で温めることで蒸気がでます。

目元を温めることで眼精疲労の回復が促進されますし、後頭部から首の裏側にかけてを温めれば、脳内の血流を高めることが可能です。

私は普段パワーナップをとる時には必ず使用しており、通常のパワーナップよりも爽快感が増し疲労感の回復を感じています。

濡らしたお手拭きをレンジで温めて代用することも可能です。

グッズ2 ブランケット

パワーナップ時は体温調整ができませんので、なるべく冷えすぎないように対策をする必要があります。冷房が強く効きすぎている場所であれば、上着を着るか、もしくはブランケットをかけて対応するようにしましょう。

横になって寝る際の掛け布団のように、身体に圧力を感じると人間は眠気を感じやすくなります。ブランケットをかけることで、この性質を利用して眠気を出すことができますので、なかなか寝付けない方には特におすすめのグッズです。

デスクワークの際には、膝掛けにも使えますので、ぜひ身の回りに常備しておくと良いでしょう。

グッズ3 加湿器

乾燥は体調不良を招きやすいです。乾燥状態にあると、静電気で花粉や菌を吸着しやすくなりますので、意識のない睡眠中には特に注意する必要があります。

現在は卓上に置ける簡易な加湿器も手軽な値段で買えますので、パワーナップをとられる際にはぜひ活用してください。

加湿は目の疲れを予防する観点でも有効です。眼精疲労は、眠気の原因となり、作業効率が落ちてしまいますので、1年を通して乾燥しがちなオフィスでは、日頃から対策をしておくと良いでしょう。

私のオフィスでは定期的に霧吹きを使用して、じかに加湿をするようにしています。

東京を中心に拡大中。仮眠室スペース利用のススメ

パワーナップの優れた効果は、日本でも徐々に知れ渡り始めています。お金を払ってでも良い環境で仮眠を取りたいという人が増えており、実際に東京を中心として、仮眠スペースを提供している店舗が増えています。

ここまでご説明した通り、パワーナップは短時間で仕事のパフォーマンスをアップさせることができますので、外回りのお仕事をされている方は、気軽に立ち寄ってみてはいかがでしょうか。また、職場では眠りづらいという方も、例えばランチを少し早く切り上げるなどして、仮眠スペースを利用されることをお勧めします。

お住まいや勤務先の近辺の地名とともに、「仮眠スポット」「仮眠室」などで検索してみてください。

ここでは東京都品川区にある「NESCAFE 睡眠カフェ」(JR・東急大井町線の大井町駅から徒歩3分)に体験に行ってきた感想と、店内の様子をご紹介します。

コーヒーでお馴染みのNESCAFEがプロデュースした、2019年3月にオープンしたばかりの睡眠カフェで、カフェインナップを快適にとれるよう様々な工夫がされています。

実際利用した感想としては、とにかく眠りにつきやすく、リラックスして寝られた分、起きた後のスッキリ感も非常に大きかったです。

それではこちらの睡眠カフェでの様々な工夫をご紹介します。

こちらの写真は睡眠カフェの様子です。撮影のためにカーテンが上がっていますが、実際は四方にカーテンの仕切りがありますので、周囲を気にすることなく、落ち着いて眠りにつくことができます。

利用時間は30分から3時間の間で選べて、時間に応じて、レザーチェアとベッドが選択できますが、パワーナップはこれまで説明してきたように、15分以下の仮眠ですので、利用時間は30分で十分だと思います。

今回私は、30分利用でレザーチェアを選択してみました。

レザーチェアは触り心地がよく、写真のように、背もたれとフットレストの角度は調整できますので、ほぼ仰向けにもなることができて、とても快適です。

仮眠スペース内は基本的に暗いですが、ポータブルの照明で好みの調整ができますので、暗すぎる、もしくは明るすぎて眠れないということはないです。

また、心地よい川のBGMとアロマの匂いで、非常にリラックスしやすく、パワーナップの際の便利グッズ、ブランケットが置いてありますので、非常に眠りにつきやすいです。

肝心のカフェインナップですが、NESCAFEプロデュースの睡眠カフェなだけあって、パワーナップ前に美味しいコーヒーを提供してくれますので、手ぶらで訪れて問題ありません。

利用開始とともに、コーヒーをのんびり飲んで、寝る準備を開始しましょう。利用終了の時刻が来るとスタッフの方が起こしに来てくれますので、アラームの使用は必要なく、心置きなく眠れます。もちろん目覚めはスッキリです。

このように、リラックスしてパワーナップをとるための、あらゆる工夫が施されていますので、パワーナップの経験があまりない方にもオススメです。ぜひ休日のお出かけの際や、平日の仕事の合間に立ち寄って、体験してみてください。

具体的なプランや料金はHPをご覧ください。

パワーナップを上手く使いこなせれば多相睡眠法でショートスリーパーになることも?

睡眠効率が非常に高いパワーナップは、1回とるだけで夜の睡眠の90分程度に相当すると説明しました。つまりパワーナップをとることで、夜の睡眠時間を短縮できることを意味します。

このように1日に複数回の睡眠をとることを多相性睡眠と言い、うまく活用すればショートスリーパーになることも可能となります。

夜に一度だけ睡眠をとることに慣れている方にとっては、不自然と思われるかもしれませんが、動物も古来の人間も、多相性睡眠をとっていましたので、むしろ人間に合った睡眠のスタイルと言えます。

ショートスリーパーになるためには、パワーナップをとるだけでなく、様々な要因による眠気の対策や、目覚めの良い起床を手に入れる方法を学ぶ必要があります。もし睡眠時間を短くする方法を詳しく知りたい方は、ぜひ無料のメールマガジンに登録してみてください。

また直接ショートスリーパーに関する情報を聞いてみたいという方は、睡眠メソッドの説明会にご参加ください。睡眠に関するあらゆる疑問に回答しながら、最先端の睡眠の情報を丁寧に分かりやすくお伝えいたします。

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