昼食直後や、3時のおやつのあとに、突然眠気が襲ってきた時、あなたはどういう対処をしていますか?
午前中のパフォーマンスが嘘だったかのように低下して、午後から居眠りを繰り返してしまい、ご飯を食べた後の眠気のせいで、仕事をミスしてしまったり、上司や先生からの評価を落としてしまう人も少なくありません。
地獄にも感じる食後の眠気ですが、あなたの周囲で食後の眠気に悩んでいる人と、悩んでいない人がいると思います。
この眠気が発生する差はなにか。
食後に眠気が発生しない体質と割り切ってしまうのも一つですが、食後に眠気を感じないテクニックがあるとすれば身につけたくありませんか?
このページでは、食後に眠気が生じる原因、眠気に悩まされないための対策法を解説します。
なお、「睡眠時間が短くても眠気に悩まされていないショートスリーパー ®になる方法」や「3時間睡眠でも熟睡して眠気が寝なくなった眠り方」についても解説していますので、こちらも参考にしてみてください。
これが一番!食後で発生する眠気にすぐ対処できる対策方法は?
「食後の眠気」は最も多くの人が悩んでいる眠気の一つです。
人だけではなく、野生動物の生活を想像してみると、食後に眠くなる理由がわかりやすくなります。
例えば、ライオンが馬を食べた直後に走り回ったり、遊び回ったりすると、カロリーを余分に消費して、またお腹が空いてしまいます。
そして、また狩りに行って食べるということを繰り返すと、エサとなる動物が絶滅してしまい、ひいては、自分たちの種が絶滅します。
このように食後に動き回って、またお腹を空かせる動物はいません。
できるだけ食事の栄養を吸収し、食事の余韻を噛みしめるようにゆっくりと眠る生物がほとんどです。
全ての動物が食後に眠ることを考えれば、人も同じように耐え難い眠りの本能が襲ってくることは容易に想像できます。
この食後の強烈な眠気を解決するのに、最も簡単な方法は、コーヒーや紅茶、お茶といったカフェインを食前にとっておくことです。
食後にコーヒーや紅茶、緑茶を飲むという習慣というのは昔から存在します。
もちろん、食後でも高い効果を得られるので、昔の人は本能的に理解していたのか、知識はなくても、どの国でも同じようにカフェインを摂取していました。
そもそも食後に眠気が発生する原因は?
食後の主な眠気の発生要因はとして、以下のようなものが挙げられます。
ひとつひとつ、わかりやすく説明していきます。
オレキシンという覚醒補助ホルモンの分泌が減ることによる眠気
オレキシンという覚醒を補助して、眠気を減らすホルモンをご存知でしょうか?
オレキシンは食欲の中枢に存在する、活動量を上げるホルモンです。
空腹になるほど、オレキシンの分泌が増えて、眠気は減少して活動力や集中力が上がります。
なぜ空腹時ほど、活動力の上がるオレキシンが分泌されるのか。
野生動物が空腹の状態を長時間キープして、生命の危機を持続してしまわないためと考えられています。
そして食事をとって、満腹に近い状態になるほど、オレキシンの分泌は減少していき、活動するモチベーションが低下して、眠気が強烈に発生することになります。
居眠り病と呼ばれるナルコレプシーについて
ナルコレプシーというオレキシンが出ないことで、自分でも気づかないうちに居眠りをしてしまう病気があります。
ナルコレプシーは、日本人の0.16%という確率で発生します。
この確率は決して低いわけではなく、600人に一人が発症する計算となります。
またナルコレプシーは、カタプレキシー(情動脱力発作)という病気を併発することが多くなります。
喜怒哀楽といった感情が発生した時に、急に力が抜けてしまう(筋トーヌス消失)といった症状があります。
重度の場合は、爆笑している最中に崩れ落ちるようなこともあります。
ナルコレプシーの多くが、金縛りのような経験があるのは、カタプレキシーを併発しているためと考えられています。
ナルコレプシーもカタプレキシーも、オレキシンが欠乏しているため、自分が意図しないタイミングで症状が発生します。
以上のようなことからも、眠気が発生した時に、自分の空腹度から、オレキシンの分泌の有無を考えることは、非常に有意義なプロセスとなります。
関連記事:睡眠障害とは?症状や原因は?具体的な対処法を睡眠の専門家が分析してみた
オレキシンとカフェインの関連性
オレキシンとカフェインは関連性がないため、オレキシンの欠乏に対して、お茶や紅茶、コーヒーといったカフェインを摂取しても効果は期待できません。
食前、食後にカフェインは効果的ではないのか?と思われた人もいるかもしれません。
オレキシン以外にも食後の眠気が発生する条件はたくさん存在します。
満腹によって発生する他の問題に、カフェインが有用という説明をしてまいります。
アデノシンといった睡眠物質が側坐核や脳脊髄液に蓄積する眠気
アデノシンは炭水化物や脂質、タンパク質といった3大栄養素に含まれているため、食事をとることによって側坐核や脳脊髄液に溜まりやすくなります。
よくアデノシンの説明をしているホームページなどがありますが、間違ったことを伝えているウェブサイトがほとんどです。
具体的にいうと、ATP(アデノシン三リン酸)がADP(アデノシン二リン酸)に分解された時に、アデノシンがゴミとして発生するといった記述がありますが、誤りです。
あくまでATPやADPは、リン酸の増減のため、アデノシンの個数に変化はありません。
アデノシンとはアデリンとリボースの化合物……といったかたちで、細かく説明すると、非常に難しくなりますが、エネルギーを運ぶための乗り物のようなイメージをしていただくと分かりやすいです。
この乗り物が、脳脊髄内に溜まるか、側坐核といわれる脳の部位に溜まることによって、視索前野という睡眠中枢から眠りにつく命令が出ます。
これが、食後にアデノシンが蓄積することによって発生する眠気の正体です。
カフェインは、側坐核や脳脊髄液内にアデノシンが入ることをブロックする効果があります。
つまり、アデノシンが発生する前に、カフェインを摂取することで眠気を予防できます。
また、側坐核はドーパミンの需要も司っているため、アデノシンをブロックすることで、ドーパミンが側坐核に入りやすくなり、より覚醒しやすくなるという効果もあります。
予防という意味で考えると、ごはんを食べる30分ほど前に、玉露や紅茶、コーヒーなどのカフェインを含有している飲み物を摂取することによって、食事から発生するアデノシンの吸収を予防することが出来ます。
食後にカフェインを摂取すると、カフェイン摂取直後に仮眠をとることで、寝起きの爽快感が向上します。
四肢の血流低下による眠気
よく、食後は胃や腸に血液が集中するため、脳に血液が巡らないと言われますが、これは半分正しく、半分は間違っています。
確かに、食事の分解を促し、栄養を吸収するために胃腸に血液が集まります。
しかし、脳という、常に大量の血液を使う器官から血液が奪われることはありません。
胃腸に集まる分の血液がどこから奪われるのか……
正解は身体の末端部分。
つまり、手や足の先といった四肢から血液が奪われます。
また、毛細血管も血液が巡りづらくなるため、眼球といった、非常に細かい血管で成り立っている組織にも血液が流れにくくなると考えられます。
食後にまぶたが非常に重たくなり、とても目が開けていられない状況は、目の血流低下によって発生します。
血流だけの問題ではなく、アデノシンによって、眠気が発生した場合、ドーパミンの需要感度も低下するため、目から入ってくる情報を制限しようとします。
そのため、食後に部屋の明かりが少し眩しく感じた場合や、明かりを暗くしたくなった際は、明らかに眠気の出始めているサインとなります。
少しでも明るさに違和感を感じたら、可能であればカフェインを摂取するか、外に出るなどして眠気の対策を心がけましょう。
体温の上昇による眠気
なぜ体温が上昇するかというと、
- 血流が落ちることによって、身体の温度調整が難しくなるため
- 食事を消化・吸収するためにエネルギーを使うため
- 体温リズムが上がりやすいタイミングで食事をとるため
- DIT=食後誘発性熱産生(しょくじゆうはつせいねつさんせい)が発生するため
- アルコールなどのエンプティカロリーによる体温の上昇
といった、様々な原因で体温が上昇します。
筋トレや運動をしている人は、DIT(食後誘発性熱産生)が高くなることが分かっています。
運動をした時に、疲労で眠たくなっていると考えがちですが、疲労以外の要素で、眠気が発生していることも少なくありません。
身体に異常があるわけではなく、むしろ生理的作用として正しいのですが、問題は体温上昇によって発生する眠気です。
体温が上昇した後、体温が下がっていくときに非常に大きな睡魔が発生します。辛いものを食べたあとに、冷たい飲み物を飲むことで、この睡魔が大きくなると考えられます。
食後に眠たくなるための条件
食事に関しての眠気は非常に大きく、一言で食事といっても、眠気のメカニズムは多種多様なものとなっています。
こんなにも眠気が発生しやすいのであれば、食後の眠気というものは絶望的ではないか?と思われるかもしれません。
私は、日中に眠気知らずのショートスリーパー ®を1000人以上育成した経験や知識から、食事の眠気に対する簡単なアプローチ方法や、効果の大きい対処方法や、予防するノウハウも保有しています。
ぜひ、丁寧に読み進めていただき、食後の眠気に対して、しっかりと対策をしていただければ幸いです。
(ショートスリーパー ®になる方法については、「ショートスリーパー ®になる方法!毎日3時間睡眠でも眠気を感じない短眠法」で詳しく解説していますので、こちらもチェックしてみてください。)
食後の眠気が発生するためには、実は一定の条件があります。
すなわち、食後に眠気が出る条件を満たさなければ、食後の眠気に怯えることはありません。
食後に眠くなる条件を簡単に列挙しますと、
- 命を狙われる心配が少なく、安心安全な空間であること
- 感情の動きが食事前に比べて少ないか、同程度であること
- 外的な刺激が少ないこと
- 人に話しかけたり、自らコミュニケーションをとっていないこと
といったものがあります。
食後にもし、部屋が眩しく感じたり、手足がポカポカしてきた場合は、すぐに上記の条件がない状態を作ることで、食後の眠気を飛ばすことが可能です。
具体的な食後の眠気を抑える行動を提案しますと、
- 食事の眠気を知覚した瞬間に、部屋を出て20〜30分ほど外に出る
- 電話や散歩などをする
- 同僚や友達と、遊びなどの楽しい話をする
- 初めて入るカフェなどに入って、事務作業をする
以上のような行動をすることで、食後の眠気につながるホルモンや本能を消すことが可能です。
日光を浴びながら、ウォーキングを行うことで、胃に集中しがちな血液を全身に巡らせることが出来ます。
消化の悪いものを食べた時や、食べすぎた時は、消化不良を起こす可能性が発生しますが、腹八分目で抑えることで、眠気を抑えるだけでなく、ダイエットや健康にも良い効果を得られます。
さらに、運動を行うことによって、代謝が向上することによって、睡眠物質を分解することも期待することができます。
食後に負荷の大きな運動をすることは、現実的ではありませんが、友達や家族とコミュニケーションをとりつつ、簡単なエクササイズのような運動を取り入れることで、食後の眠気を激減することができます。
このページを訪れた方に、「食後に眠たいという感覚を忘れた」という状態になっていただきたいと考えています。
眠気知らずとなった、一日90分以下の睡眠時間で活動する講師から、具体的な方法をお伝えできます。
押し売りなど一切ありませんので、気軽に遊びに来る感覚で来てください。
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